四方山ライブラリー

食物繊維の重要性

- 食物繊維の重要性 -

獣医師 デイビッド・ウッド
BVSc, MRCVS for TuffRock Japan  

最初に食物繊維とはどの様な物でしょうか?この繊維は飼料の炭水化物を含む物で植物の構造的な支えとなる木質材料を含みます。この化合物(食物繊維)は粗繊維と呼ばれセルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン等が含まれでんぷんや糖質等より消化されにくい物です。

リグニン(木質素)は難消化物の為、全て消化する事が出来ません。このリグニンの高含有量(粗繊維)飼料は消化率が低いと言えます。でんぷんや糖などの炭水化物は主に小腸から分泌される酵素によって分解されます。

消化酵素は繊維質を消化出来ない為、腸内微生物に消化を依存します。 馬では、これらの微生物が(細菌、真菌、原生動物)大腸に主に住んでおり、膨大な数を有しています。 馬糞の乾燥重量の約50%が死んだ微生物から構成されています。
驚くべきことに大腸内の細菌細胞の数は、馬の体のすべての組織細胞の10倍以上の数であり、その数は継続的に通過する食物に対応する為、時事変化しています。

微生物叢による繊維消化に時間がかかります。馬体内の繊維は、盲腸に迂回され暫く滞留されます。材料の粒径に応じて最大60時間程度滞留される事が有ります。 引き続き消化は、結腸に至りセルロースとヘミセルロースなどを揮発性脂肪酸に分解され吸収とエネルギーに変換されます。この 微生物自体も死滅した際にタンパク質や糖質を提供し、この消化吸収工程に貢献します。自然界では何も無駄にする事は有りません。

それではこの腸内微生物の発酵によって寄与される総消化効果はどの位なのでしょうか?調査研究に因ると30%のタンパク質、15-30%の可溶性炭水化物及び75-85%の構造性炭水化物は腸内微生物の発酵によって消化されているとの事です。 従い食物繊維は非常に重要で有る理由が理解出来ます。

馬は草食動物です。文字通り「草を食べる動物」飼い桶に飼料を混ぜる時にあまりにも頻繁に忘れ事実です。この草食動物は大量の低エネルギー植物から20時間/日、草を食む事で効率良く栄養素を取り出せるシステムを進化の結果持つ事が出来たのです。 論理的に飼料は出来るだけ牧草(乾草や切り乾草)を給与し出来るだけその他の濃厚飼料を少なくするべきです。 原則として健康や消化の効率性の面からして最良の結果が得られる事実と思われます。 然しながらこの2つの要因は地域(地質)的に鑑みこの自然(牧草だけ)の給餌システムは避けるべきです。

第一の要因はエネルギーです。 何も労役をしない馬は問題なく草だけで生きる事が出来るでしょう。 馬に労役(練習を含む又は、仔馬を担持する)を課すと直ぐに馬体のエネルギー必要量が増加し牧草から抽出したレベル以上になります。 馬は次第に何千年も重労働を課されているかの如くの惨劇の様態になるでしょう。 従い給飼全体の「エネルギー密度」を高める為にでんぷん質の形で不足分を給与する事を実施しました。まず始めに燕麦、大麦やトウモロコシ等の原料穀物を用いて製造飼料としました。これらの原料穀物は繊維を含み特に外皮は繊維をより多く含まれていますが牧草飼料(オーツ麦10% に対してオーツ乾草30%)比較し遥かに少ない量が含まれているだけです。 この事実から判明する通り馬に多くのエネルギーを給与する代わりに食物繊維摂取量が比例減少し問題が発生し始めました。

でんぷん質は小腸で分泌される酵素により消化されます。 そのでんぷん質が大腸に入った場合、繊維質を消費する微生物は突然その簡単なエネルギー源の利益を得る事で指数関数的に増殖します。 その増殖した微生物はガスを生成し疝痛の原因となります。 その他、毒素を生成し血液中に吸収されて循環器に影響を及ぼし締葉炎の原因となります。 同様の事が糖分豊富な牧草からも発生する可能性が有り同様の結果を招きます。 この消化し易すぎるエネルギーは大腸で微生物を異常に増殖し本来の繊維質分解の役割バランスを崩します。 でんぷん質は間違った場所に入った場合、危険な物質となります。

何故でんぷん質は大腸に入るのでしょうか? 大腸に到達する前に消化される様になっていないのでしょうか? 確かに消化されるべき組織されていますが100%効率的では有りません。 でんぷん質を給与しすぎた場合、一部のでんぷんは消化されず大腸へ送られてしまいます。一度に多すぎず少量であれば無視できると思われます。 腸内微生物量の状態調整は重要な事でエネルギー取得(穀物飼料給与)は徐々に行う事が必要です。 状態調整する事で馬は徐々に濃厚飼料の量(突然給与した場合、反芻動物を殺す程度の量まで)を増やす事ができます。

第二の要因は牧草の品質です。 牧草が十分なエネルギー供給出来る場合であっても産出される地域によりミネラルや微量元素等の栄養素が不足しています。利用可能な牧草量と質はごく一部の産出地域に制限されます。

給飼の食物繊維バランスが悪い場合、馬の状態が悪くなりますのでバランスを維持する為の実用的な方法を提案したく思います。まず一般的に飼料の中に含まれているおおよその粗繊維の含有量数値を最初に着目します。

餌の種類 食物繊維含有率
オーツ乾草&切り乾草 29-32%
小麦乾草&切り乾草 25-29%
ルーサン乾草&切り乾草 20-25%
青草 5-8%
燕麦 10-12%
トウモロコシ 2%
大麦 5%
配合飼料 5-20%

新鮮な牧草(青草)の低含有量にだまされてはいけません。馬は大量にその新鮮な牧草を消費しますがその水分量は70-85%になり乾草の水分量は10%またはそれ以下になります。乾草の割合からして牧草は25-35%の繊維を含んでいる良い物と言えます。

 現時点で十分な繊維質の摂取の必要性を高く評価出来ると思いますが目的達成の為の最善の方法や、どの程度が十分な量と言えるのでしょうか? 上述した牧草をそのままでも、又は幾つかの種類の牧草を混ぜても良いでしょう。
可能な限り新鮮な牧草(青草)が望ましく牧草は乾燥の過程で有用なビタミンの多くとその他の抗酸化成分や栄養素が保管中失われてしまうからです。 この緑色の「ドクター・グリーン」の代わる物は未だ有りません。

経験則として最大50ルール、この50ルールはハードワークをする馬に給与する濃厚飼料50%、牧草50%としての安全な実用ガイドとして適用できます。 実際の所、短期間中に高負荷を馬体に与えたる場合60%まで濃厚飼料を増加する事が出来ますが低負荷時や休息に戻る前に30%に戻す必要が有ります。負荷が軽減される度に消化不良とエネルギー貯蔵問題リスク(便秘疝)を回避するため濃厚飼料の給与も減少する必要があります。

 異なる濃厚飼料の相対的なエネルギーレベル差を意識する事が役立ちます。 例えばトウモロコシは燕麦と重量比較で20%も多くのエネルギーを保持します。大麦はトウモロコシと燕麦のおおよそ中間程度のエネルギーを保持します。 エネルギー値は製造メーカが濃厚飼料の袋に明記するべきであり明記の無い物は将来の影響を考慮しなくてはいけません。 栄養素的観点から配合飼料はミネラル、エネルギーやタンパク質等バランスよく配合されています。利用目的に合った利点を持ち推量での給飼リスクを削減します。

最後に覚えておくべき最も重要な事の1つは、より多くの食物繊維を給与しても馬に障害を与えることができませんが多くの濃厚飼料は確実に障害をもたらします。 疑わしいと思える場合は、注意しながら食物繊維を増加してみて下さい。何を意図して第一に食べるのか、自然は理にかなっているか等が分かるでしょう。

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